少なすぎる給食、冬の室温は14度…ブラック保育園の正体(※イメージ写真)
少なすぎる給食、冬の室温は14度…ブラック保育園の正体(※イメージ写真)

 定員46人に約70人。給食のおかずはスプーン1杯で、残ると冷凍保存して再び提供していた。兵庫県姫路市の認定こども園の劣悪な環境が次々と明らかになっている。やっと勝ち取った入園。でも、それはゴールではないのだ。

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 親なら思わず目を背けたくなる。兵庫県姫路市の認定こども園「わんずまざー保育園」(小幡育子園長)のことだ。定員オーバーに少なすぎる給食。冬の室温は14度で、遅刻した保育士には罰金を科していたなど、次から次へとおぞましい現実が報じられている。

 同園は認可外保育園として2003年11月に開園し、15年3月にこども園の認定を受けている。定員を超える園児は市を通さず直接契約で受け入れ、保育士の人数も実際より多く申請して、不正に補助金を受け取っていた。親が「ブラック保育園」を見抜く方法はあるのだろうか。

●保育士で園がわかる

 まず保育の専門家たちが重視するポイントは「保育士」だ。人数、勤続年数、離職率のほか、一気に辞めた、ベテラン保育士がいないなどの園はゆとりを持った保育ができていない可能性がある。疲れが見える、保護者の意見や不安を聞いてもらえない、園長の顔色ばかりうかがっている、という園も要注意だ。100カ所以上の保育園を取材してきた保育ジャーナリストの猪弘子さんは、事故が起きる園には共通点があると指摘する。

「園長が高圧的に支配している園では保育士は思考力を奪われ、いざという時に動けずに大きな事故が起きやすい。簡単なことも園長に確認する園はその傾向があるとみていいでしょう。認可園でもそういう園はある」

 親自身が感じる「ちょっとした違和感」を信じて、と話すのは、自身の保活をきっかけに小規模保育所「ちゃのま保育園」をつくった東京都墨田区の宮村柚衣さん(36)だ。2人の子どもの保活中、部屋が薄暗かったり給食が中華料理店の弁当だったりして違和感を持った園は、結果的に閉園した。保活座談会を開くと、多くの親が園の良しあしを同じように評価していた。

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