●カードローンの増長

金子:今は消費者金融よりも、銀行のカードローンのほうが問題視されてますよね。昨年10月には日弁連がカードローンの適切な審査体制づくりを求める意見書を金融庁に提出して、今年1月には金融庁が銀行首脳を呼び出した。その直後に、綺麗にカードローンの電車広告がなくなりました(笑)。消費者金融からの借り入れと異なり、銀行のカードローンは借入額を年収の3分の1までとする貸金業法の対象外。それをいいことに、銀行は15%程度の高利でカードローンの貸し出しを増やしまくって、今ではその残高が消費者金融を上回る5兆円に達している。昨年は13年ぶりに自己破産の申請件数が増えましたが、その一因がカードローンです。

──借金を取り立てるコツみたいなものはあるんでしょうか?

榎本:『督促OL 修行日記』にも書いたのですが、新人時代に最初に学んだのは、「約束の日時を相手に言わせること」でした。「◯日までに払ってください」と言うと、上から目線と感じて怒りだす人も多い。相手に支払期日を決めさせても、約束を破られることがあるんですけど、そのときは「お客様が◯日に入金してくださると言うから、お待ちしていたんですよ」と罪悪感を刺激する。「いくらだったら、すぐにお支払いいただけますか?」と問いかけるのも効果的。追い立てるのではなくて、質問を投げかけて相手に決めさせると、「自分で約束したから」という心理が働きやすいですね。

金子:確かに、一昔前は「支払いが遅れると信用に傷がつきますよ」と脅しをかけることも少なくありませんでしたが、今は「こちらも困っているんです」と罪悪感を煽る取り立て文句を使う人が大半ですね。

武田:押しの強い取り立ては諸刃の剣です。消費者金融でもクレジットカードでもそうなんですけど、一度脅しめいた取り立てをされると、「ここは面倒だから、さっさと返済して、今後は使うのやめよう」となる。でも、実際には継続的に利用してくれないと利益にならない。消費者金融なら利子分だけの返済でも、4年で元金が回収できてしまうんですから。面白いことに、回収率の高い店舗は営業が弱いという傾向が鮮明に出る。その地域で「取り立てが厳しい」という噂が立って、新規の貸し出しが伸びなくなるんです。早く回収するのではなく、時間をかけて回収しようと考える人のほうが優れた取り立て屋です。

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