親は、入学時に300万円、その後は年間約50万円を基準に準備してあげてほしいという。

 スカラシップ・アドバイザー制度新設の背景には、18年度から大きく変わる奨学金制度の周知という意味も込められている。

●1学年につき2万人

 特に注目されるのが、これまで貸与型だけだった国の奨学金制度に風穴を開ける「給付型奨学金」だ。予算規模は約200億円。制度の改善に大きな一歩であることは間違いないが、1学年につき2万人など対象は極めてせまい。さらに進級するたびに成績審査があり、著しく下がった場合は給付の廃止または給付した分の返還が求められる。驚くのは、卒業後に高収入を得るようになった受給者には、次世代への寄付を求める仕組みづくりを検討しているということだ。タダより高いものはない、ということにならなければいいのだが。

 昨年10月には、この給付型奨学金の財源として、19~22歳の子どもを養う親などの税負担を軽くする所得税の特定扶養控除を縮小する検討に入ったと報道され、子育て世帯で限られたパイを争う方向だ。麻生太郎財務大臣はいったんは否定したが、今後の行方が気になる。

●きっかけは人手不足

 一方、地方自治体では独自の支援策が増えている。顕著なのが「就労・奨学金返済一体型」の支援事業だ。

 他県からのUIJターン就職の促進を狙い、16年にこの取り組みを始めたのが富山県だ。対象は理工系の大学院生や薬学部生。県内の登録企業55社のうちいずれかに就職することを条件に、県と企業が彼らの奨学金返還を肩代わりする。毎年度末に本人が返還した奨学金に相当する額が本人に支払われ、10年間就業すればなんと奨学金の残額を機構に一括して返還してくれるという。

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