「畠さんは体調不良で地元の自民党支部長を辞されるときも、実質的に自民と決裂する形になりました。自民議員として府議会議長までおやりになったのに、自ら進んで維新に行かれたという認識です。橋下徹さんを大阪府知事に担いだときも畠さんが中心的役割を果たされました」

 その上で、籠池氏の発言についてはこう吐露する。

「豊中市の国有地のことは府議でないと知り得ない情報ですので、政治家の関与はここから始まったんや、ということが(籠池氏の主張で)わかって、ストンと腑に落ちた感じがしました」

 証人喚問で籠池氏は、松井知事に対し「ハシゴを外された」と恨み節を繰り返し吐いた。これに対し、松井知事は証人喚問終了後、「籠池理事長と一度もお会いしたことはなく、学校の設置に向け担当部局に対し一切指示したこともない」と関与を否定した。また、籠池氏に質問した浅田均氏(維新)は、「松井知事の名前が出ている。私としては松井一郎氏を証人喚問してもらいたい」と注文した。しかし、17年度予算案は3月27日に成立の見通し。予算委で他の関係者の招致を継続するのは日程的に厳しい状況だ。

 自民党のある衆院議員はこう指摘する。

「今後も国会追及を続けるかは、23日と24日の予算委員会でのやりとりを見て、国民がどう判断するかが大きなポイントになると思います」

 一方、別の維新の衆院議員はこう見る。「籠池氏は嘘をついています。今後は司直の手で解明されていくことになります」

「籠池の乱」が今後も政界を揺さぶるのは間違いなさそうだ。

(編集部・渡辺豪、山本大輔)

AERA 2017年4月3日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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