「(首相夫人付職員が)財務省の方に多少の動きをかけていただいた。ごみが出た後に急転直下物事が動いたというのは、そういう考えもあろうかと思う」

 ファクスについて、政権は森友学園側から昭恵夫人付の職員宛てに出された封書に対する回答だった、と説明しているが、問題の本質はそこにない。

 全国紙で長年、官僚取材をしてきたジャーナリストはこう説く。

「内閣人事局が発足し、官邸が官僚人事を掌握するようになって官僚の意識は激変しました。特に幹部官僚にとっては内閣人事局でどう評価されるのかが一番の気がかりですから、森友学園の問題も、『忖度(そんたく)』という言葉がすべてを物語ると思います」

●首相の名を察する

 内閣人事局は、国家公務員の人事管理に関する中枢機能を担う。14年5月に発足し、審議官級以上の約600人の人事を官邸主導で担うことになった。

「官僚は昭恵夫人の名が出れば身構えますよね。雑な扱いやけんもほろろな扱いをしたら、『何省の誰それの態度は……』ということが必ず官邸に打ち返され、出世の足を引っ張られることになりますから。特に安倍1強体制が20年の東京五輪までは続くと見られている中で、『昭恵夫人絡みの案件』という話が回ってきたら、財務官僚の側は昭恵さんの後ろには安倍首相がいることを直感的に察し、ベストの対応をするのは当然の原理でしょう」(ジャーナリスト)

 国会は24日、国有地の売却交渉が行われていたときに財務省で理財局長を務めていた迫田英典国税庁長官と、近畿財務局の局長だった武内良樹財務省国際局長を参考人招致した。

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