証人喚問で発言する森友学園の籠池泰典氏。堂々とした答弁ぶりに、不思議な説得力があった(撮影/写真部・東川哲也)
証人喚問で発言する森友学園の籠池泰典氏。堂々とした答弁ぶりに、不思議な説得力があった(撮影/写真部・東川哲也)

「籠池砲」が国会で炸裂した。官僚機構のみならず自民、維新の本丸にも斬り込む「籠池の乱」。あぶり出された闇は、限りなく深い。

「昭恵夫人は全く覚えていないとおっしゃっているようですが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えています」

 3月23日、国会での証人喚問。学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典理事長は、2015年9月5日に昭恵夫人を介して安倍晋三首相から100万円の寄付を受け取った、と改めて証言した。

 籠池氏によると、同学園が運営する塚本幼稚園の園長室で「人払い」した昭恵夫人が、籠池氏と2人きりの状況で現金を手渡した。全面否定する安倍首相側との見解は真っ向から対立している。

 ただ、証人喚問では、籠池氏が終始落ち着いた様子で、よどみなく話したのが印象的だった。籠池氏はこうも証言した。
●見えない力で動く

「何らかの見えない力で動いたのかなと思いました」

 与党議員が偽証罪をちらつかせて“恫喝”しても動じない。国有地契約に絡み、昭恵夫人と籠池氏の接点を示す新たな「物証」も飛び出した。籠池氏が昭恵夫人の携帯電話の留守番機能に吹き込んだ「相談」に応じる形で、内閣総理大臣夫人付の政府職員・谷査恵子氏が籠池氏に送信したとされるファクスだ。

 15年11月15日に谷氏から籠池氏に届いたというファクスは、谷氏が財務省に問い合わせ、「国有財産審理室長から回答を得た」と明記。「引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください」と“協力姿勢”も示している。

 籠池氏が国有地から新たなごみが見つかったと国に報告し、賃貸から買い取りへの変更を求めたのは翌年3月。その3カ月後に大幅に値引きされ、分割払いでの売買契約が結ばれた。籠池氏は、葉梨康弘氏(自民)から土地売買に政治家側の関与があったのか問われると、こう語った。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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