●お互いの強み洗い出せ

 ただ家事というタスクを分担しただけでは、お互いを「思いやって生活している」ことにはならない。では、どうすれば夫は愛妻家になるのだろうか。

「妻側が抱え込まずに、何でも話してくれるといいと思います。男は『察する』ということが苦手。どんなことが不満か、つらいか、態度で気持ちを表すだけでなく言葉にして話してもらえたら、夫はその苦しさに気づくことができます。『本当は掃除が苦手なんだ』『本当はこういう仕事をしてみたいと思ってる』など、『実は○○だ』という本音を見せてくれたら、男性も妻のことをもっと理解でき、大切にしたくなります」(小菅氏)

 ただ感情をぶつけて、それを理解してもらえないことに悲観するだけでは、悪循環から抜け出すことはできない。もとは他人だからこそ、話さなくては理解されないということを、妻側も忘れてはいけないのだ。また三松氏は、これからの時代を生きる夫婦は、2人で将来設計を組み立てることが重要だという。

「フィフティー・フィフティーという言葉通りに家事・育児の時間や労力を均等に割っておきさえすればいいという思考でいてはダメ。お互いの強みを洗い出し、妻のほうに社会的地位や年収が高まるチャンスが訪れたら夫がそれを立て、そのターンでは家のことを引き受けるべき」

 お互いの生き方、今後の人生設計を洗い出し、2人のチャンスをうまく生かせる設計をすることで、家庭経済も向上し、本当の意味で女性が活躍できる社会ができあがっていく。

 愛妻家というライフスタイルが、社会を変えていく可能性があるのではないか。(ライター・大西桃子)

AERA 2017年3月20日号