ドリームスリーパーIIスーペリアクラスは、東京(池袋駅西口)と大阪(なんば、両備バス門真車庫)間を走行(撮影/写真部・大野洋介)
ドリームスリーパーIIスーペリアクラスは、東京(池袋駅西口)と大阪(なんば、両備バス門真車庫)間を走行(撮影/写真部・大野洋介)
身長182センチの関東バス・大田勝昭さんでも横になれた(撮影/写真部・大野洋介)
身長182センチの関東バス・大田勝昭さんでも横になれた(撮影/写真部・大野洋介)
歯ブラシ、マスクなど色々なアメニティーグッズが常備(撮影/写真部・大野洋介)
歯ブラシ、マスクなど色々なアメニティーグッズが常備(撮影/写真部・大野洋介)
トイレは温水洗浄機能と水浄化機能がついている(写真/関東バス提供)
トイレは温水洗浄機能と水浄化機能がついている(写真/関東バス提供)

 安い移動手段として利用される高速バス。乗り換え不要で夜間移動できる一方、窮屈で快眠できない点も。そんな中、業界初「完全個室」バスが誕生した。他人の視線から解放されそうだ。

 学生時代、一人旅にハマっていた。移動はもっぱら電車だったが、片道が2万円以上かかる移動の際に割安の高速バスを選んだことがある。道中、前の座席の中年女性が無遠慮にシートを倒してきた。「もう少し戻してくれませんか」と訴えたものの無視され、足が痛く窮屈な時間を強いられた。それ以来、高速バスが苦手に。ところがそんな記者でも久しぶりに乗りたくなるような高速バスが1月に現れた。「業界初の全室扉付き完全個室」が謳い文句の「ドリームスリーパーIIスーペリアクラス東京・大阪号」だ。

 もともと高速バスの路線は、1964年に名神高速道路網が開通してから発展してきたという。利用者は増加傾向にあり、2013年度は1億986万人(国土交通省調べ)。一方、近年は関越道のツアーバス事故(12年)や軽井沢スキーバス事故(16年)など、死傷者が出る悲惨な事故も相次いでいる。そんな中で誕生したドリームスリーパーIIには「バス業界のイメージを一新したい」という作り手の思いも込められているという。

●料金は片道2万円

 車両開発を監修したのは両備バスを傘下に持つ両備ホールディングス(岡山市)。広報の山木慶子さんは、「このバスは完成までにおよそ2年の歳月と、約1億円のコストを費やした」と説明する。15年に大阪─東京間の新規運行を検討する際、別区間で業務提携している関東バス(東京都中野区)に相談を持ちかけ、関東バスが賛同して購入。2社の共同運行でスタートしたという。

 料金は東京─大阪間で片道2万円。新幹線の料金(約1万5千円)よりも少々高めの設定だ。では乗り心地はどうか。実際に東京─大阪間で格安高速バスとドリームスリーパーIIの両者を乗り比べてみた。

 行きは23時発、4列シートで料金はなんと1700円という高速バス。全部で40ほどの座席は満席で半数以上は20代とおぼしき女性だ。座席は幅約40センチで前座席との間隔は約60センチ。身動きはほとんど取れない。トイレ無しの車両で、道中のサービスエリアに0時、2時半、5時半の計3回も立ち寄る。その度に起きてしまい、快眠とはほど遠かった。

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