フットバスのあとベッドへ横たわると、まずは足裏の状態を細かくチェックされます。どの部分の角質が肥厚しているかで、歩き方の癖がわかるのだそうです。なんでも私は外側とかかとに重心があるらしく、そのせいでかかとが硬くなり、親指の下にタコ未満の角質が溜まっているとか。早速、歯科医院で使用するような電動器具で硬いところを削ります。ウィーンと音は派手ですが、痛みはありません。ちょっとくすぐったい程度です。その後、ネイルサロン以上に丁寧な甘皮ケアが施され、最後にふくらはぎを強めにマッサージ。そして保湿。ハレルヤ! ここには欲しいものがすべて揃っているではないか!

 たっぷり2時間の施術が終わり、自分の足を見て驚きました。先ほどまでが奴隷の足だとしたら、これは貴族の足! 足の裏がぷくぷく柔らかいと、心まで柔らかくなれるような気がします。血行が良くなったのか、肌の色も透き通ったような。

 中年になるとすべての輪郭がボンヤリしてくるけれど、足の爪がこんなにくっきり縦長に見えたのは何年ぶりでしょうか。すべすべしっとり、クーポンを使って8400円。3週間後に予約を入れて帰路に就きました。働く女に激しくオススメします。

ジェーン・スー「貴族の素足は金で買え!」(『今夜もカネで解決だ』朝日新聞出版より)

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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