イケメンマッサージ師相手だと、自意識がおかしくなる?!(※イメージ写真)
イケメンマッサージ師相手だと、自意識がおかしくなる?!(※イメージ写真)

 TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」パーソナリティーで、働くシングル女性の間で絶大な人気を誇るコラムニスト、ジェーン・スー。多忙な日常の中でためこんだ疲れを解消すべく、都内のさまざまなマッサージ店やリラクゼーションサロンを放浪している彼女だが、その遍歴をまとめた一冊『今夜もカネで解決だ』の中で、イケメンマッサージ師が苦手だと告白している。

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 飛び込みで入るマッサージ店は、残念ながら失敗することが珍しくありません。いきなり入れるということは、普段から予約が少ない可能性が高いからです。

 しかし、いつ体が凝るかなんて事前にはわからないではないですか。また、飛び込んだ先が大当たりすることもたまにある。だからやめられないのです。

 先日、出先で時間を持て余していたところ、目の前にタイ古式マッサージ店が現れました。前にここを通った時にはこのお店はなかったはず。新しくオープンしたばかりなのでしょう。

 連日の残業で私の体は凝り固まり、夜も寝つきが悪く困っていました。かと言って、自分でストレッチをするのも億劫。ならば他人にやってもらおうと、フラフラと吸い込まれるように入店しました。

 ドアを開け、キャッシャーのそばにあった呼び鈴をリンリンと鳴らします。すると、なんということでしょう、20代後半とおぼしきかなりのイケメンが施術室のカーテンを開きニッコリと出てきました。かなりの、です。嗚呼、完全に予想外。こちらの動揺に気付くわけもなく、イケメンは満面の笑みで言いました。

「ありがとうございます! いますぐにご案内できますよ!」

 あーあ、やっぱりハズレだ。だってイケメンだもの。

 イケメンにマッサージされるなんて最高じゃない? いいえ、私はイケメンマッサージ師が苦手です。「イケメンだから、技術力がないに違いない」なんて偏見ではありません。相手がイケメンだと私の自意識がおかしくなり、まったくリラックスできないのです。「私のような者の不浄な体を触って頂いて、この度は本当に申し訳ございません」という気持ちに、どうしてもなってしまう。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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