木村草太(きむら・そうた)/1980年生まれ。東大法学部卒業後、同大助手を経て現在は首都大学東京教授(憲法学) (c)朝日新聞社
木村草太(きむら・そうた)/1980年生まれ。東大法学部卒業後、同大助手を経て現在は首都大学東京教授(憲法学) (c)朝日新聞社

 日本の学歴社会の頂点に君臨してきた「東大法学部」。政財官に人脈を伸ばし、国を支えてきたえたエリートたちの母体だ。良くも悪くもスタイルを変えてこなかった「象牙の塔」にも、時代の激変の波は押し寄せる。偏差値序列社会は終わるのか。かつて「砂漠」と称された東大法学部はいま、脱皮の時を迎えている。AERA 2017年3月27日号では、東大法学部を大特集。

 東大法学部の人気凋落──そんな声が近年ささやかれている。官僚も政治家も弁護士も魅力がない。だったら法学部に行かなくてもいい。意識の高い学生が逃げ、法学部にはやる気のない学生がたまっている? 取材をしてみると、先入観を超える意外な「ニュータイプ法学部生」が育っていた。OBはどう思っているのだろうか? 東大法学部OBの木村草太さんに話を聞いた。

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 法学は極めて整理整頓された体系ですので、法学を学ぶと一見もやもやしてよくわからない社会現象に対して問題点が非常に明晰に理解できます。特に学部レベルでは「正解」が想定しやすい学問分野です。前提となる知識や教養も非常に多いことに加え、対話や体験の必要があまりない分野でもあるので、授業がある程度一方通行になることはやむを得ないでしょう。

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