●結構メロウな曲が多い

──新作は、夏木マリさんの歌う「ヴィーナスの丘」など後半の展開がかなりメロウですよね。

石野:みなさんあんまりお気づきじゃないですけど、結構メロウな曲が多いんですよ。「メジャーコードでBPM(1分間に打たれるビートの数)が速い」とか「下品で、はちゃめちゃで、おもちゃ箱をひっくり返したような感じの歌詞」というイメージがあるんですが、ほとんどの曲はマイナーコードだし、BPMも125くらいでそんなに速くない。

瀧:カラムーチョの辛い部分ばっかり注目されるみたいなね。

石野:自分たちでは、電気グルーヴはJ-POPだという意識でやってるんです。J-POPの変わり種みたいな感じでとらえてもらえたほうが、敷居は低くなるんじゃないかな。

──今は、曲ができた順にウェブ上で発表したりもできる時代ですが。海外ではCDというかたちでの作品リリースをせず、音源の配信中心で活動しているアーティストも増えています。

石野:できた順にばんばん出していきたいという気持ちもありますけど、結果そうすると薄れちゃうんですよね。アルバム単位だとお客さんもある程度集中して聴いてくれるし、アルバムだからこその構成とか曲間のおもしろさも届けられる。やっぱり自分が音楽を聴いてきた歴史の中で、パッケージされたもののありがたみというか、開封したときの匂いとか、そういうのが好きなんですよ。LP買っていい匂いだったら絶対みんなジャケット頭にかぶるでしょ、みたいな?

●断固として成長しない

──最先端と目される音楽を作りながら、自分たちが経験してきた昔の感覚がちゃんと意識されてるのがすごいなと思うんです。

石野:「成長しねえな」ってことですかね?でも、そこは変わらないですよね。逆に変わるやつは怖い。

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