瀧:「それいいね、俺も好き」っていう部分を重ねていく感じのレコーディングなんです。

石野:瀧の今年の新年の挨拶は「今年も娯楽で徹しよう!」でしたからね。娯楽をやっててアートにはなるけど、アートをやってても娯楽にはならないんですよ。

●やめる理由なくなった

──「煮詰まり厳禁」という言葉は、お2人らしいですね。

瀧:似たような音楽が好きで10代の頃に友達になった関係なので、お互いの気持ちいい音とかベースラインとかわかってますしね。

石野:煮詰まっているのは、そのアイデアがよくないんじゃないかと思うんです。若いうちは自分の中の可能性を開拓したいから着地点もわからずにやったりするけど、もうそういう時期ではないというか。あと何年生きるかわからないのに、結果が出るか出ないかわからない実験には時間を費やしたくない。残りはお歌を歌ったり踊りを踊ったりして、わいわいやっていきたいんです。

──01年から04年まで活動休止期間があった電気グルーヴですが、活動を再開されてからはライヴもレコーディングもコンスタントで、とても安定していますね。

石野:いやいややりたくないっていうのはあるんですよ。しかも2しかいないわけだし。それに、うちらもう電気グルーヴをやめる理由がなくなっちゃったんで。「音楽性の不一致」という理由も使えない(笑)。

──瀧さんは近年は俳優としてもご活躍ですが。

瀧:ドラマや映画にしても、バラエティー番組にしても、人の目につきやすいところなので注目されるのはしかたないと思うんですが、結局は誰かの作品じゃないですか。電気グルーヴは共同名義ですが僕の名前がつく作品なので、ベクトルが真逆です。なにしろ、ここ(電気グルーヴ)が一番フィールドとしては無法ですから。

石野:無政府状態。大使館もない。

瀧:“おもしろライオット”ですもん。

石野:といっても、2人しか暴動してないですけどね。キャッキャ言ってるだけです(笑)。

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