「WE ARE X」映画「WE ARE X」は現在公開中。2016年に米サンダンス映画祭で初公開され、ワールドシネマドキュメンタリー部門の最優秀編集賞を受賞した。オリジナルサウンドトラックも発売中 (c)2016 PASSION PICTURES LTD.
「WE ARE X」
映画「WE ARE X」は現在公開中。2016年に米サンダンス映画祭で初公開され、ワールドシネマドキュメンタリー部門の最優秀編集賞を受賞した。オリジナルサウンドトラックも発売中 (c)2016 PASSION PICTURES LTD.

 X JAPANが再結成し、世界進出に向けて歩み出してから10年。結成から2014年の米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでのライヴまで30年余を追いかけた映画「WE ARE X」が、ついに日本で公開された。AERA 2017年3月13日号でYOSHIKIがインタビューに答えた。その一部を特別に公開する。

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 2007年の再結成以降、アジア、北米、南米、ヨーロッパでツアーを行い、着実に世界への歩を進めてきたX JAPAN。その歩みを追いかけたハリウッド制作チームによる記録映画「WE ARE X」は、14年の米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでクライマックスを迎える。

●開けちゃいけないもの

 16年に完成したこの作品は、同年の米サンダンス映画祭のワールドシネマドキュメンタリー部門で最優秀編集賞を受賞するという快挙を成し遂げた。監督したのは、ローリング・ストーンズの記録映画「ストーンズ・イン・エグザイル~『メイン・ストリートのならず者』の真実」などで知られるスティーヴン・キジャック。YOSHIKIは映画について、こう話す。

 自分で作ってたらもっとかっこいい映像を入れてますよ(笑)。でも、僕が作っていたら絶対に完成できない。だから、「映像は専門ではないので自分たちをサブジェクト(主題)に好きに料理して」と制作チームに丸投げしました。

 えー、いまこれ見せるの?って思うシーンはたくさんある。最後まで悩んだのは、初期のころの僕がドラムを叩いていて倒れるシーン。ストッキングが半分脱げてて、え、これ? 勘弁して、と(笑)。完全ノーメイクでリハーサルしてるシーンとかも入っていて、恥ずかしい映像を数えたらキリがないです。

 いまだから笑ってそう言えるが、1990年代のXは、過激なルックスとド派手な演奏スタイルだけでなく、自己破滅が美学とも言える「怖い」バンドだった。映画でもYOSHIKIの痛々しい姿がこれでもかとばかりに映し出される。首に白いコルセットをつけたままドラムを連打したり、ライヴの終盤に呼吸困難になり、息絶え絶えになってドラムセットから崩れ落ちたり。バンドは完璧さを極限まで求めて自分たちを追い詰め、そして悲劇が起こった。

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