●「UXの最大化」が基本

 運転から解放された利用者(U=USER)は、移動という体験(X=EXPEPIENCE)をしながら、インターネットを使って音楽を聴いたり、映画を見たり、SNSで友達と会話をしたりするというさまざまな体験を同時に楽しめる。商品やサービスに触れてユーザーが得る体験をネット業界では「UX(ユーザー体験)」というが、このUXを最大化させるという概念がIoT時代の基本であり、デジタル・ネイティブ世代のニーズに合ったビジネスモデルなのだ。

 グーグルがUXの最大化を狙い、IoTのアクセサリーとして自動車を位置づけているのに対し、自動車メーカーは、あくまでも自動車のアクセサリーとしてIoTを組み込もうとしている。車を売ることが本業の自動車メーカーにしてみれば仕方がないことだが、現世代やその次の世代の需要が求める方向性とは合致しないため、「IT産業にのみ込まれる」と揶揄されることもある。つくる側も買う側もデジタル・ネイティブとなった時、従来の車が車でなくなる時代がやってくる可能性が高いからだ。(編集部・山本大輔)

AERA 2017年3月6日号