いま世界の自動車業界で“逆転”が起きています(※イメージ)
いま世界の自動車業界で“逆転”が起きています(※イメージ)

 若者の車離れで“自動車王国ニッポン”の座が揺らいでいる。一方で欧米は電気と自動運転にまい進。いまやIT企業や新興勢力の参入も相次ぎ、もうバトルロイヤル状態だ。だが待ってほしい。日本には「技術」だってガラパゴスで元気な市場だってある。AERA 3月6日号「進め!電気自動車」では、そんな熱い人々にフォーカスしてみた。

 電気自動車「リーフ」の技術も活用した新型ハイブリッド車(HV)「ノート」が昨年11月の国内新車販売ランキングで30年ぶりの首位、今年1月にはノートと自動運転機能付きのセレナが1、2位を独占した。これはサニー、ブルーバード以来の32年ぶりの“ワンツーフィニッシュ”だ。ルノー・日産は電気自動車販売では世界トップ。業界の現状などについて、カルロス・ゴーン氏から西川廣人氏に社長が交代する日産の専務執行役員で日本事業担当の星野朝子氏に尋ねてみた──。

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 車は日本の二酸化炭素排出量の2割を占め、メーカーにはその責任があります。そこが出発点となり、2010年に発売したのが電気自動車リーフです。ただバッテリーも高価で、充電スタンドも必要です。高くつく新技術は高級車から導入されるのがもっぱらですが、ちょっと背伸びをすれば購入でき、普通に運転できる電気自動車を作りたかったのです。

 当初は販売台数が伸びず、期待先行との受け止めも多かったかもしれませんが、ただ私は以前いた市場調査部門で予測もしていたのですが、実はこのペース、予測通りなんです。例えば固定電話からケータイへの切り替えも時間がかかったように、行動の変化をともなうもので、時間はかかる。そんな中、今回のノートが販売首位になったニュースには驚きました。エンジンで発電する新しい電気自動車の一つですが、予想以上の盛り上がりを感じます。

 現在、電気自動車の普及拡大に欠かせない国内の充電スタンドは計2万5千カ所、ガソリンスタンドは3万2千カ所で、インフラは整ってきています。電気自動車はケータイ同様、自宅でも充電できるんです。さすがに旅行時はスタンドの位置を確認しないといけませんが、日常生活の中で数百キロ走るのはまれ。十分な性能になっています。

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