●朝昼夜のランの効能

 脳を鍛えるランニングの効果を最大化させる「走りどき」は朝。重森さんによれば、「朝ラン」で脳のリズムが整い、完全に覚醒した状態で仕事や勉強に臨むことができる。一日の早い段階で代謝を上げると基礎代謝が上がり、ダイエット効果も期待できる。ちなみに、脂肪燃焼が目的なら「空腹時」がさらにいい。

 昼ランや夜ランにもそれぞれメリットがある。

 ランチタイムに走れば、脳に酸素が送り込まれて眠気覚ましになるし、夜ランは成長ホルモンの分泌を促進し、筋力アップに効果がある。ただ、走った後は交感神経が優位になっているため睡眠を妨げてしまう恐れがある。寝る間際には走らないようにしたほうがいいだろう。

 まだ走ろうという気が起きない人へ。ランニングは心も強くするということをご存じだろうか。ストレスから私たちを守る働きをするのが「コルチゾール」というホルモン。このコルチゾールを長時間放置すると脳の海馬や扁桃体にダメージを与える。滞留を防ぐには、走ることだ。

 幸せを感じるホルモン「セロトニン」も分泌される。運動がうつ病患者の症状改善に効くという研究は各国でなされている。

 仕事や子育てで「走る時間なんて取れない」という人もいるだろう。

 スポーツウェアに着替えて走るのはハードルが高いというなら、生活の中のちょっとした工夫で運動量を増やしたり、普段の動きに変化をつけたりすることで、脳に刺激を与えることを提案したい。

 ちょっとした心がけで運動量は増える。まずは、ジッと座っている毎日から抜け出そう。

(編集部・深澤友紀)

AERA 2017年2月27日号