重森さんが勧めるのは「ひとりじゃんけんラン」だ。走りながら両手でじゃんけんし、身体の前に出す手が後ろの手に勝つようにする。やってみると、うっかり足が止まってしまいそうになるほど難しい。信号や歩行者が目に入らなくなってしまう可能性もあるので、慣れないうちはランニングマシンや室内でトライしてほしい。「しりとりラン」「計算しながらラン」なども、「ひとりじゃんけんラン」と同様の効果がある。

 仕事中などに集中力が続かないなと感じたときは、普段はしない動作をすることでこれまで使っていた脳を休めることができる。自分の歩幅で後ろ向きに進む「後ろ歩き」や、直線をイメージして、足のつま先とかかとをくっつけて歩く「継ぎ足歩行」もオススメだ。

●その場駆け足で企画

 三つ目は、「発想力を鍛える」走り方。企画やアイデアが思い浮かばず煮詰まってしまったとき、そのまま椅子に座って考え続けるよりも、運動強度90%でダッシュしたほうが、名案が浮かびやすくなる。

 無酸素運動で心拍数を一気に上げて、その後に一息ついたとき、新鮮な酸素を含んだ血液が前頭葉に大量に送り込まれて活性化し、ひらめきが生まれやすくなる。社内を全力疾走するわけにはいかないだろうから、「その場駆け足」をやってみよう。腕をしっかり振って、足は太ももの付け根から上げる。しっかり腕を振って階段を駆け上がる「階段ダッシュ」でもいい。

「赤」「看板」などとテーマを決めて、それを探しながら走ると、いつものランニングコースの景色の中で新しい発見があったり、アイデアが湧いたりすることもあるという。

 四つ目は、「感覚を鍛える」走り方だ。感覚や空間認知をつかさどる頭頂葉。どのぐらい足を上げれば段差を越えられるか、どれくらい手を伸ばせば目の前のものをつかむことができるかといった感覚を鍛えて自分の体を正しく認識すれば、最高のパフォーマンスを発揮できる。

 有効なのは、「大股走り(早歩き)3分+小股走り(早歩き)3分」というセットを繰り返すことや、階段を上がるときに1段、2段、1段、2段と1歩で上がる段数を変えることだ。

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