●サーバーが混雑

 一方、視聴方法がスマートフォンやPC、タブレットなどのデバイスに限定されるのではという懸念については、“テレビでも視聴可能”と強調する。

「最新のスマートテレビにはデフォルトでアプリが内蔵されていますし、一般のテレビでも『Amazon Fire TV』や『Fire TV Stick』などと接続することで視聴は可能になります。また、ゲーム機器やスマホやタブレットの画面をテレビに映し出すミラーリングもサポート対象に入っています」

 新シーズンからJリーグでは史上初めてJ1、J2、J3の全試合がライブ配信されるが、パフォームは欧米でスポーツ動画を作ってきたノウハウを日本でも生かしたいという。例えば昨季までJ1がカメラ6台で中継していたのに対し、17年からは9台を基本にし(J2は6台、J3は4台)、注目試合に限っては最大16台のカメラを使用するというから、より多角的な角度で試合が見られるかもしれない。そして、「将来的にはスタジアムで観戦しながらDAZNを視聴できるシステムも構築したい」というから楽しみは膨らむ。

 サッカーの主たる放映権が、テレビ局からインターネット事業者に渡るのは世界のサッカーリーグでも初めてのことだそうだ。だが、Jリーグの村井満チェアマンも「DAZNは日本に新たなスポーツ観戦文化をもたらしてくれる」と大きな期待を寄せる。

 ネット通信の利点については前述したが、欠点も当然ある。たとえば人気コンテンツが配信された際に、サーバーが混雑すれば視聴に影響が出るのは言うまでもない。インターネットで動画を見ていたら、アクセス過多でうまく動画が再生できなかった。そんな経験は誰もが一度はあるだろう。それが無料ならば問題ではないが、有料となれば無視できない。

●録画できないのが痛い

 メディア論に詳しい立教大学社会学部の砂川浩慶教授はその点について、こう指摘する。

「放送(テレビ)の場合は、局が伝送したデータを1人が見ようと100万人が見ようとそのまま受信できるのですが、通信の場合はそうではない。同時に多くのユーザーが見れば回線はパンクしてしまい、画面がフリーズしてしまうことも珍しくありません。つまりサービスに加入しながら、画質が担保されていないのです」

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