「う~ん、どちらとも言えないな」「そうでもないよ」「まぁね。そんな感じかな」「そうかもね」「どうでしょうねぇ。私にはわかりません」──。「あいまいな返事」のバリエーションをこれだけ覚えておけば、感情に合わせたコミュニケーションができる。

「あいづちがうまく入れられると、相手との距離が縮まり、自分の緊張もほぐれて会話のウォーミングアップにもなりますよ」(石原さん)

●思い切って大きな声で

 最後にもうひとつ、誰でもすぐに試すことができる「惜しい!」の解消法を。先の川合さんが日本人の英語で「惜しい!」と思うのが「発声」だという。

「日本に住んでいる外国人は日本語の発声を聞き慣れている。だから、日本式の『発声』で話しても伝わりますが、海外ではなかなか伝わらない」

 と川合さん。「発音」ではなく「発声」ですか?

 川合さんには、初めて英ロンドンで生粋の現地人と話したとき、自身の英語が全く通じなかったという経験がある。文法も単語も合っているのにおかしい、とよくよく観察すると、彼らが話す英語は自分の英語に比べて、声が大きいことに気がついた。同じような声の大きさで話したら、すぐに通じるようになったという。

「特にイギリスの英語は腹式呼吸で話す言葉。lemonやlistenなどのエルの音は、強く息を吐きながら出す。日本語の『レ』とは全く発声法が違います。大きな声を出すように意識するだけでだいぶ変わります」

 日本人が英語を話すときは、自信のなさからいつもより声が小さくなりがちだ。思い切って大きな声を出すだけで驚くほど伝わるようになるというのだから、トライしない手はない。(編集部・高橋有紀)

AERA 2017年2月6日号