英検2級のライティング問題を見てみよう。図のような形式で、あるトピックが与えられ、「agree(賛成)」か「disagree(反対)」かを問われることが多い。編集部員の解答(右)を安河内さんに見てもらった。

「これはきちんと型にのっとっていますね。初めに主張があり、そのあとに理由を述べている。2級なら、これで満点です」

 解答者は「言いたいことが全然書けなかったし、冠詞や複数形など文法も自信がなくて」と不安げだったが、

「冠詞だとか複数形だとか、そんなことにはこだわりすぎなくていいんです(笑)。もちろん、あまりにひどくてミスコミュニケーションが起きるほどなら問題ですが、この程度の間違いでいちいち減点はしません。従来の日本のテストはそのように減点法で採点されましたが、4技能テストは違います」

 現在、主なスピーキング、ライティングの試験では観点別ルーブリック評価が一般的だ。「Can-Do」リストに基づいて、達成レベルを判断する。個別のセンテンスを取り上げて、多少文法のミスがあったからといって、それほど減点はしない。

 図の解答は、安河内さんが作成した「よくありがちな惜しい解答」だ。英語自体はほとんど間違っていないのに、肝心の質問にまったく答えていない。これでは半分くらいしか取れないという。

「結論を言わずにほのめかしているだけ。日本人には違和感がないかもしれないけど、英語話者が見ると、何が言いたいのかまったくわからない文章です」

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