英語力に不安がある、大事なプレゼンを控えている、英語で作成した資料をチェックしてもらいたいなど、それぞれの目的に合わせてカスタマイズした授業を受けることができる。

 取材した日は、広報室の斉藤敦子さん(39)がスキルアップのためのレッスンを受けていた。日本の高齢化の状況についてのディスカッションをするのがこの日のお題。米公共ラジオの番組を聞いて話し合う。最後には、番組の内容を2分ほどにまとめてプレゼンした。

●完成した文章で話す

 終了後にマーカスさんが指摘したのは、斉藤さんが「It says~(番組ではこう言っていた)」という表現を繰り返し使ったこと。

「プレゼンや電話会議で重要なのは、聞く側の注意を引きつけること。同じ表現ばかり使っていると、聞く側は眠くなってしまいます」

「It says~」とほぼ同じ意味で、「The report covers~」「The report out~」「The report mentions~」「The report lays out~」などが使える。

 仕事で英語を使う場合はメールが多いが、月に1回ほど電話会議があるという斉藤さん。音声のみの電話会議では、

「自分が説明したことが理解してもらえたか、不安に思うことがあります」(斉藤さん)

 レッスンの中でマーカスさんは「Make complete sentence」(完成した文章で話して)」という指示も繰り返した。頭の中で最後まで文章を組み立ててから口に出すとあまりにも時間がかかってしまうため、途切れ途切れに単語を発してしまう斉藤さん。だが、これでは電話会議では伝わらない。

「電話会議を課題に感じている社員は多いようです。ジェスチャーや表情が使えない分、構成を考えて話さなければ伝わりません」(マーカスさん)

 趣味については話せても、ニュースを話題にしようとすると話せない、英語が急に子どもっぽくなってしまう、という悩みも上級者に多い。

「最新の時事的なネタは、ビジネスの場ではよく話題に出ます。英語だったらどう言うか?と考える習慣を日常的に身につけておくと、語彙力を高めることができますよ」(同)

(編集部/石臥薫子,高橋有紀)

AERA 2017年2月6日号