(右)高橋博之(たかはし・ひろゆき)さん(42):「東北食べる通信」編集長、1974年、岩手県花巻市生まれ。元岩手県議会議員。2013年に、食べ物つきの情報誌「食べる通信」を東北で創刊した。翌年に、一般社団法人「日本食べる通信リーグ」を創設/(左)安倍昭恵(あべ・あきえ)さん(54):首相夫人/1962年、東京都生まれ。87年に安倍晋三氏と結婚。山口県下関市で無農薬の「昭恵米」を作るなど、農業や東北復興などの社会活動に取り組んでいる(撮影/写真部・加藤夏子)
(右)高橋博之(たかはし・ひろゆき)さん(42):「東北食べる通信」編集長、1974年、岩手県花巻市生まれ。元岩手県議会議員。2013年に、食べ物つきの情報誌「食べる通信」を東北で創刊した。翌年に、一般社団法人「日本食べる通信リーグ」を創設/(左)安倍昭恵(あべ・あきえ)さん(54):首相夫人/1962年、東京都生まれ。87年に安倍晋三氏と結婚。山口県下関市で無農薬の「昭恵米」を作るなど、農業や東北復興などの社会活動に取り組んでいる(撮影/写真部・加藤夏子)

 生産者を特集した情報誌と彼らが手塩にかけた食材がセットで届く「食べる通信」。震災後、高橋博之さんが東北で始め、いまは全国に広がっている。首相夫人の安倍昭恵さんがその高橋さんと、都市と地方、人間と自然について語り合った。
安倍昭恵:高橋さんとは、東日本大震災後の防潮堤の問題をきっかけに知り合って、もう4年近くになりますね。

高橋博之:初めて会食した日、僕は先に酔いつぶれてしまったんですよね(笑)。昭恵さんとは防潮堤に限らず、いろんな問題について話してきたけれど、その考え方に違和感を抱くことはないですよね。

安倍:私もです。高橋さんの『都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡』を読みながら、「自分がふだん考えていることが、ここに理論立てて書いてある」と感じました。

●新しい「つながり方」

高橋:都市と地方については、「どちらが豊かなのか」という二項対立で議論されがちですが、昭恵さんはいつも、「なぜお互いに、もう少し歩み寄れないんだろう?」っておっしゃってますよね。

安倍:主人の選挙区が山口ですから、私は地方の方々とのお付き合いも多くて。本当に豊かな生活を送っている人たちをたくさん見ています。だから、必ずしも「都会のほうが豊かだ」とは思えません。

高橋:なるほど。

安倍:それもあって、都市と地方の両方を豊かにするために両者をつなぐという、「食べる通信」の考え方には、すごく共感するんです。

高橋:いま、生産者と消費者は完全に分断されてしまっていますからね。

安倍:その点でも、「食べる通信」は消費者と生産者の両方にとっていいですよね。知人でも、複数誌とっている方がいます。はまるんですね。

高橋:併読される読者は結構多いんです。12誌、定期購読されている方もいるんですよ。

安倍:読者は生産者を取材した記事を読んでいっそうおいしく食べる。生産者には読者の「おいしかった」という喜びの声が届く。生産者に実際に会いにいく読者もいるんでしょうか?

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