好ましくない批判や問題提起があると、トランプ氏は「phony(偽の)」、「fake news(偽のニュース)」という言葉を使い、正面から向き合わないことが多い。この二つの言葉が出てくる頻度が高ければ高いほど、そこにトランプ氏にとって表に出したくない問題が隠れていると見たほうがいい。

 隠す大統領がいるなら、それを暴くのがメディア。米国からの報道もトランプ時代を読み解く大きなカギとなる。ロサンゼルス・タイムズ紙は、数十万人の女性たちが参加したという反トランプ集会を報道するとともに、「すでに人気のない大統領が、抗議活動の結果、果たして実質的に変われるのか」などの疑問点も提示している。

 勢いを増す反トランプ運動だが、参加者たちを結びつけるキーワードがある。

「He is not my president(彼は私の大統領ではない)」

 米国の分断を象徴する言葉でもある。(編集部・山本大輔)

AERA 2017年2月6日号