今後はこういったことを丁寧に説明し、カジノ部分の厳格なコントロールの制度を協議しながら設計することが重要になります。1月には国土交通省や財務省、警察庁、法務省など省庁横断の準備室が発足して総務、企画、法制1と2、依存症対策、カジノ管理委員会の6班体制で業務を推進します。これをもとに法制協議を重ね、臨時国会でしっかり審議をしたうえで18年の通常国会で実施法を通し、誘致したい自治体に手を挙げてもらい、選ばれた自治体がプロポーザル方式で業者を選んでいくという流れになるでしょう。

 IRのうち、カジノ部分が占める床面積は3%程度で、残りはホテルや会議場、ショッピングモールや様々なエンターテインメント施設等のスペース。だからこそカジノは暴力団関係者や賭博依存者などをきちんと排除して管理しなければなりません。生体認証など様々なツールがありますが、日本の技術なら完璧に近いものができます。アジアでゼロからIRを造って成功しているのはシンガポールだけで、韓国やマカオは制度不備などから大きな問題を抱えているのも事実です。それらを反面教師に、スイスなど欧米の成功しているカジノを参考にしながら制度を整備し、国民に十分納得してもらえるよう透明な議論を進めていくことが肝心です。(談)

(聞き手/編集部・大平誠)

AERA 2017年1月30日号