美原融(みはら・とおる)さん/66歳/研究所所長/大阪商業大学アミューズメント産業/一橋大学卒。大手商社に勤務し、政府や自治体の専門委員を歴任。ギャンブルとカジノ法制度研究の第一人者(撮影/編集部・大平誠)
美原融(みはら・とおる)さん/66歳/研究所所長/大阪商業大学アミューズメント産業/一橋大学卒。大手商社に勤務し、政府や自治体の専門委員を歴任。ギャンブルとカジノ法制度研究の第一人者(撮影/編集部・大平誠)

 アルコール依存、薬物依存などの依存症は、生活習慣などではなく、病気だ。個人の意志や心がけなどで対応できるものではなく、治療が必要なもの。近年、医療現場ではさまざまな試みが行われている。AERA 2017年1月30日号では、依存症治療の最前線を大特集。

 ギャンブルとカジノ法制度研究の第一人者である大阪産業大学アミューズメント産業研究所所長の美原融氏に、カジノを含んだ総合型リゾート施設(IR)の建設がもたらすメリットについて語っていただいた。

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 今回可決成立したのは推進法という理念法。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を造るために、この理念法をもとに議論を積み重ねて実施法を制定しようという2段構えの慎重な手続きを踏んでいくのですが、ここがそもそも国民や野党の一部の方々にはわかりにくいですよね。法案にしても2013年に出して翌年、衆議院の解散で廃案になったので出し直し、他の法案の関係でたなざらしになっていただけで、決して拙速に進めたわけではありません。官邸や自民党は推進、公明党も軸足は決めていないものの国会議員の7割方が賛成、民進党も約3分の1が賛成しています。

 反対派の論拠はいつも同じで一部を捉えて感情的になっているようにしか思えません。米国の小さな州で1票差でカジノ法案が否決されたことを、全米で同様の現象が起きているかのような言い方をしたり、競争が激化して業者間で格差が生じているアトランティックシティーを「衰退している」と表現したり。賭博はゼロサムゲームで所得移転効果しかないとか。ミクロ経済学的に個人対個人では正しくても、実際は民間事業者が1兆円規模で投資して膨大な雇用、生産、消費行為が伴う一大産業です。拡散効果も大きいし税収にも貢献する。特に国際会議場やショッピングセンター、ホテル、劇場、テーマパークなどを一体的に運営するIRは、大きな相乗効果が期待できます。

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