国債の発行は、「国の借金」としてネガティブなイメージがありますが、実際は日本全体として借金を背負っているわけではありません。国債の多くは日銀が保有しているからです。政府と日銀は一体として「統合政府」として考えるべきなのです。
財政政策の方法には2通りあります。一つは減税。消費減税を主張する経済学者もいます。
一方、私は国民に直接カネを配る景気対策の導入というもうひとつの方法を主張しています。その場合、日銀が国債買い入れで財政資金を供給することになるでしょう。
喫緊の景気刺激策としては、お金を使う人に配分するのが効果的です。1人1万円くらいを一律で配布するというイメージです。
ただし、政府の政策にかかわらず、今年の日本経済は回復に向かう可能性があります。
「トランプ景気」の特需を受け、米国経済に助けられるという期待があります。
トランプ次期大統領は、財政と金融をフル回転させて景気回復を目指しています。米国の景気が上向きになれば、それに伴ってドル高円安になり、円安効果で輸出が増えて日本経済も上向きになるというシナリオが考えられるのです。
(構成/編集部・長倉克枝)
※AERA 2017年1月16日号