民衆神道は、神とともに暮らす日本人の「生活様式」を教えた宗教でもあります。民衆神道により、私たち日本人は自然によって生かされているという感覚を持つようになりました。それが昔の日本人のよさでした。

 しかし、明治時代以降、資本主義と民主主義が入ってきたことで、徐々に民衆神道離れが進みました。資本主義は拝金主義を生みました。民主主義は多数決が原則ですが、少数派の意見を顧みることも大事です。

 弱い者がイジメられていても誰も助ける人がいない社会になった。それは、自然に生かされているという意識がなくなり、権利意識だけが強くなったからでしょう。

 もう一度、日本人の「心の原点」である本当の神道を確認し、そこに戻ることが大切だと思っています。(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2017年1月16日号