天海:映画でも舞台でもドラマでも、私は1シーン1カットでいけるくらいの心積もりができる役者でいたいと思うんです。それはつまり、一つのシーンを最初から最後まで、カメラのタイミングから何から何まで頭に入れて全部できなきゃいけない、ということです。

 映画の撮影現場はいまも独特ですよね。1日に1シーンだけの撮影ということもある。ゆっくり時間をかけられるのが映画かな。

●日本人の心を映し出す

──どんな日本映画に出たいですか。あるいは、どんな日本映画を見たいですか。

阿部:最近は漫画原作が多いでしょ。それもいいけど、僕個人としては、監督がこだわって自分で脚本を書いていくような作品がすごく好きだし、そんな作品に役者として選ばれると誇らしい。そうした作品が、これから日本でも増えて、お客さまに愛されていってほしい。

天海:日本人が作る日本の映画は日本人の心を映し出している気がします。「恋妻家宮本」はモントリオール世界映画祭で、たくさんの観客が笑いながら見てくださった。これからも「日本人はこうなんだ」と理解してもらえる機会が増えるとうれしいです。

 阿部さんが演じている陽平さんではありませんが、私たちは身の回りにある小さなことが幸せであることに気づけなかったりしますから。世界中の人たちに、日本映画が身近にあると人生が豊かになりますよって言いたいですね。(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2017年1月2-9日合併号