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原爆から震災まで…現代美術家・柳幸典の「歴史を問うアート」

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桑原和久AERA
原爆から震災まで、日本の現代史をテーマにし、アートがもつ批評精神を追求している。(※イメージ)

原爆から震災まで、日本の現代史をテーマにし、アートがもつ批評精神を追求している。(※イメージ)

 世界的に活躍する現代美術家・柳幸典の、首都圏では初となる大規模な個展が横浜市で開催されている。原爆から震災まで、日本の現代史をテーマにし、アートがもつ批評精神を追求している。

 コンクリート打ちっ放しの室内の天井から、一目見て原子爆弾“リトルボーイ”だと分かる錆びついた物体がつるされている。世界的に活躍する現代美術家・柳幸典の、首都圏では初となる包括的かつ大規模な個展が、現在、横浜市で開催されている。

「柳幸典 ワンダリング・ポジション」と題された今回の展覧会では、30年にわたり国内外で制作された作品約60点が展示されているが、そのうちの一点、この“リトルボーイ”は、「今回が初公開」(柳)となる。

「制作したのは10年ほど前で、瀬戸内海の犬島で展示するつもりだったが、理由があって現在まで発表できなかった」

●架空の3発目の原爆

「ABSOLUTE DUD(=不発弾)」と題されたこの作品は、広島に投下された原爆を正確なサイズで再現したものだ。

「日本には原爆が2発落とされたが、実は3発落とされていて、ひとつは不発弾として京都で見つかったとしたらどうだろう。この作品は、観る人にそういった架空の思考実験を促すつもりで制作した」

 米国は日本文化の中心、京都は爆撃しないというが、京都への原爆投下プランを示す文献資料はある。

「もし、そうなっていたら今の日本は、安全保障体制も含めどうなっていただろう……」

 この作品の向かいには、現在、犬島で展示されている、柳の作品「イカロス・セル」のプロトタイプが鎮座する。

「自ら翼を作り、その技術を過信したために太陽の火に焼かれたギリシャ神話のイカロスの翼に着想を得た」この作品は、銅の精錬所にある炉を迷路に仕立てている。内部を歩き進むと、太陽のコロナが燃えさかり、鏡に三島由紀夫の『太陽と鉄』から引用された詩「イカロス」が映し出される。

「この二つの作品は本来対になるものとして構想したが、ここ横浜で初めてそれが実現した」


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