ミリメシ(戦闘糧食)/ミリメシとは、軍隊を意味する英語「ミリタリー」とご飯の「メシ」を合わせた造語(撮影/写真部・大野洋介)
ミリメシ(戦闘糧食)/ミリメシとは、軍隊を意味する英語「ミリタリー」とご飯の「メシ」を合わせた造語(撮影/写真部・大野洋介)
最近は、地震などへの備えとして注目される。防衛省内の売店や、ネットなどで購入可能だ(撮影/写真部・大野洋介)
最近は、地震などへの備えとして注目される。防衛省内の売店や、ネットなどで購入可能だ(撮影/写真部・大野洋介)
陸自広報センター りっくんランド/陸自広報センターの「りっくんランド」。民主党政権下では、仕分けの矢面に立たされたことでも有名に。ヘリコプター、戦車、パラシュートなどが展示されている。入館無料(撮影/写真部・大野洋介)
陸自広報センター りっくんランド/陸自広報センターの「りっくんランド」。民主党政権下では、仕分けの矢面に立たされたことでも有名に。ヘリコプター、戦車、パラシュートなどが展示されている。入館無料(撮影/写真部・大野洋介)
災害派遣での炊き出し/自衛隊の災害派遣時の炊き出し風景。熊本地震でおにぎりを準備する自衛隊員たち/4月16日、熊本県益城町 (c)朝日新聞社
災害派遣での炊き出し/自衛隊の災害派遣時の炊き出し風景。熊本地震でおにぎりを準備する自衛隊員たち/4月16日、熊本県益城町 (c)朝日新聞社

 中国、トランプ、北朝鮮、日本を取り巻く環境がきな臭くなっている。専守防衛に徹し、海外に展開できる装備は持たない自衛隊。安保法とトランプ大統領の誕生で、どう変わろうとしているのか。AERA 12月12日号では「自衛隊 コストと実力」を大特集。最新兵器から出世レース、ミリメシまでいまの自衛隊に密着。その中から、朝霞駐屯地ルポを公開する。

*  *  *

 いったい、自衛官はふだんどのような場所で働いているのか? というわけで、陸上自衛隊・朝霞駐屯地(東京都練馬区など)を興味津々で訪ねた。ここには首都防衛を担う陸自東部方面総監部や東部方面後方支援隊、体育学校などがある。

「約4千人が勤務しています」

 と、案内してくれた東部方面総監部広報室の合瀬教弘さん(50)。最寄りの自衛隊地方協力本部を通じて団体で申請すれば敷地内を案内してくれる。

 とにかく広い。敷地面積は約90万平方メートルと東京ドーム19個分。そこには、コンビニ、100円ショップ、薬局、喫茶店、理髪店、クリーニング店、ATM、さらにはミリタリーグッズショップまで、生活の上で必要なものがほぼそろう。独身寮や、隊員用の医務室まである。

「街のようですね!」

 と、同行したカメラマンは驚く。一角には、陸上自衛隊広報センターの「りっくんランド」がある。飛行体験ができるフライトシミュレーターは、休日には行列ができるほどの人気とか。ランチタイムに敷地内の「食堂」をのぞくと、自衛官たちが次から次へとやってきた。ただ残念ながら、一般の人は食堂を利用できない。

 というわけで、災害時などの隊員たちの非常食、いわゆる「ミリメシ」を食べることに。正式には「戦闘糧食」と呼ばれ、市販品がネットでも購入可能だ。

 発熱剤入りのポリ袋に水を入れて、待つこと約30分。ウィンナーカレーを食べた本誌編集部の女性記者(32)は、

「ご飯がおいしいうえにウィンナーが2本もあって、おなかいっぱい。何といっても温かいのがいいです」

 ただ、1千円前後と値段がお高いのが残念。(編集部・野村昌二)

■とある自衛隊駐屯地、若手自衛官の一日

6:00
起床ラッパが鳴り響く。身支度して整列、「番号はじめ」と点呼、1、2、3……。解散。駐屯地によって土日祝日は7時起床ラッパ。駐屯地で生活する隊員(営内者)は、独身の若手隊員、下士官など

6:30~7:30
朝食。営内者は朝昼晩ともに無料

8:15
国旗掲揚。その後、課業(いわゆる仕事、日常業務や訓練など)

12:00~13:00
昼食(駐屯地の外で暮らす家族持ちや幹部隊員は350~400円で昼食を食べられる)。その後、課業

17:00
国旗降下(国旗に向けて敬礼、起立などして一日の仕事が終わる)

17:10~18:00
夕食。その後、風呂や自由時間、学生なら勉強も

22:00
点呼、解散。歯磨きなど

23:00
消灯

AERA 2016年12月12日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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