塾の公式ホームページには「身近になかった知識に触れ、様々な人に出会うことで、これまでにない希望を見つけることになるでしょう」とうたわれている。合格者には出馬意欲の有無を確認するアンケートが送られた(写真:「希望の塾」公式ホームページ提供)
塾の公式ホームページには「身近になかった知識に触れ、様々な人に出会うことで、これまでにない希望を見つけることになるでしょう」とうたわれている。合格者には出馬意欲の有無を確認するアンケートが送られた(写真:「希望の塾」公式ホームページ提供)

 東京都の小池百合子知事が主宰する政経塾「希望の塾」が4千人超の応募者を集めた。小池新党結成への布石ともうわさされる政治塾。その衝撃と狙いとは。

 小池百合子氏の都知事選出馬に伴う東京10区、鳩山邦夫元総務相の死去に伴う福岡6区の両衆院補選。追加公認を含めて自民党が2勝したが、スポットライトが当たったのは応援に立った小池氏だった。そして彼女の政治塾「希望の塾」が10月30日、始動する。

「政治にかかわる人を増やすことが政治の質の向上にもつながる。政治を学びたい人の受け皿で、それ以上でも以下でもない」(小池氏)

 8月中旬、政治塾立ち上げというサプライズが駆け巡った。「東京大改革の理念に賛同し、政治を学びたい方を幅広く募集」と旗を掲げると、都内に限らず全国から幅広く応募があった。

●所属政党は問わず

 所属政党を問わない同塾には、民進党の蓮舫代表も党関係者の参加を容認した。講義は10月から来年3月までの間に6回あり、受講料は一般男性で5万円、女性や学生は割引される。

「うれしい誤算です」

 こう声を弾ませるのは小池氏の特別秘書で、希望の塾事務局長の野田数(かずさ)氏(43)。4千人超の応募は、橋下徹前大阪市長が主宰し3千人強を集めた政治塾をしのぐ規模だ。30日の開塾式は東京・池袋の帝京平成大学の講堂で行われるが、会場の収容人数は1千人弱。合格者を約3千人に絞り込み、4回にわたって開塾式をする。

「応募締め切り後も問い合わせが多く、追加で募集をするか、2期生を募集するか検討することになりそうです」(野田氏)

 塾創設の目的について水を向けると、

「人材育成というようなおこがましいことは考えていない。塾に集まってくださった方は、すでに貴重な人材。連携し、ご縁を深めていきたい」(同)

 政治塾といえば、多くの政治家が輩出している松下政経塾、小沢一郎政治塾がある。政治を志す人材を幅広く求め、将来活躍する政治家を養成する。地方の首長も含め、開塾に踏み切る政治家は少なくない。東京都議選を来年夏に控えたタイミングでの開塾には、小池新党の影がどうしてもちらつく。ある都議会関係者は、こう打ち明ける。

次のページ