映画「君の名は。」では、慶應義塾大学病院がある信濃町が“聖地”に(※イメージ写真)
映画「君の名は。」では、慶應義塾大学病院がある信濃町が“聖地”に(※イメージ写真)

 名門私大として、事あるごとに比較される早稲田と慶応。映画の舞台としてはどちらが優勢なのだろうか?

 映画早慶戦では早稲田の圧勝だ。何度も映画化された「人生劇場」の青春篇は明治後期の早大が不可欠であり、23年ぶりに連載再開が決まった五木寛之の大河小説『青春の門』の「自立篇」は、昭和20年代後半に早大に入学した主人公の物語で東宝・東映で映画化。あの植木等も「日本一のホラ吹き男」で、渥美清も「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」で、早大キャンパスに堂々と登場する。

 現存するもっとも古い早大のロケは小津安二郎が撮った「落第はしたけれど」(1930年)で、昭和初期の早大構内と学生風俗が描かれる。村上春樹原作の「ノルウェイの森」では、現在(2010年)の早大で69年当時を再現するなど、いずれの作品も大隈講堂などがドラマに色を添え、早稲田らしい。

 一方の慶應だが、慶大生の設定も、構内でのロケも少ない。慶應出身の加山雄三、石原裕次郎が学生に扮しても、大体が慶應っぽい(?)架空の大学だ。そのなかでは、慶應合格を目指す「ビリギャル」は異色。現在ヒット中の「君の名は。」では慶應義塾大学病院がある信濃町が“聖地”として巡礼スポットになっている。(ライター・田沢竜次)

<青春映画は早稲田で>

「処刑の部屋」 
市川崑監督 1956年/大映
映画では架空の大学だが、早慶戦らしき試合や新宿で飲んで騒ぐ姿は早大生か?

「海の若大将」
古澤憲吾監督 1965年/東宝
加山雄三の学生時代(慶應)か。当時慶應在学中の加瀬邦彦も演奏シーンで出演

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