初めての都議会に臨む小池百合子知事=9月28日 (c)朝日新聞社
初めての都議会に臨む小池百合子知事=9月28日 (c)朝日新聞社

 東京都の小池百合子知事が就任後初めての都議会に臨んだ。所信表明でも打ち出した「小池色」。山積する課題を抱えながらの船出を待ち受けるのは?

 傍聴席は満席だった。9月28日、ひときわ目立つワインレッドのジャケットに身を包み、小池知事は議場に立った。初めての所信表明で何度も繰り返し、強調したのは「都政改革」だ。

「東京大改革。この5文字に込めた私の思いに、都民の皆様から大きな共感をいただき、身に余るご支持を賜りました。私の目指す東京大改革とは、都政を透明化し、情報を公開し、都民とともに進める都政を実現することであります」

●強調する「都政改革」

 落ち着いてゆっくりした口調ながら、いきなり見せた対決姿勢。そして、こうも訴えた。

「知事個人の利益のためではなく、都議会の皆様の利益のためでもなく、都民のため、都民全体の利益が最大化すると信じることを、お互いに議論をぶつけ合う。新しい都政における都議会の姿だと考えます」

 キーワードの「都民ファースト」を前面に出し、東京都、都議会の双方に対して「これまでの姿勢は都民重視ではなかった」と、やりを突きつけた形だ。だからこその「都政改革」。強い決意表明には、都民やマスコミの関心を引きつける戦略があった。

 安全性に関する問題が相次ぎ、移転の見通しがつかなくなった築地市場の豊洲移転問題一色になるとみられていた今都議会で、新たに2020年東京五輪・パラリンピックの都内会場をめぐる会場整備費などの高騰問題を取り上げて一気に焦点化させた。既存の計画の正当性に疑義を唱えて見直しを提起する手法は、築地市場の移転延期を決定した時と全く同じだ。

●問題提起であえて“敵”を

 しかも議会開会の直前にこの問題の報道が出るという絶妙なタイミングだった。自らが本部長を務める都政改革本部の調査チームが、一部の競技会場の整備計画について、抜本的な見直しを含む提言をする──。

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