■希望しない科ランキング

1.外科
 体育会系のノリが嫌い。家庭を保てる気がしない。バツ4など離婚話をよく聞く(千葉大5年・男性)

2.ない・わからない
 まだ自分の可能性を狭めたくない(多数)

3.精神科
 患者の話を聞くのはちょっと(慶應義塾大6年・男性)

4.産婦人科
 少子化が進み訴訟率も高め(獨協医科大6年・男性)

5.皮膚科
 生死に直結しない(浜松医科大4年・男性)

■研修でも効率を求める医学生
東京の人気病院より経験積める地方を選ぶ

 医学生の将来を大きく左右するのが、卒業後の研修をどこで受けるか。その選び方にも、今どきの医学生像が透けて見える。

 神戸大学医学部6年生の永江真也さん(23)はこの夏、研修先に仙台厚生病院を選んだ。地方の拠点病院とはいえ、地元でもない東北をなぜ選んだのか。

 永江さんは実は当初、東京での研修を考えていた。診療科がそろう都内の総合病院を2、3カ所ピックアップしていたという。患者も多く、バランスよく研修を受けられると思っていたからだ。

 しかし、先輩医師に相談すると、「有名病院だから、経験を積めるとは限らないよ」。

 そこで、日本内科学会の「教育病院・大学病院年報」を使い、内科医1人当たりの年間受け持ち患者数と、年間救急入院患者受け入れ数を自分で計算してみた。

「驚きました。研修先として人気の有名病院が、必ずしも受け持ち患者数や救急患者数が多いわけではなかったからです」

 例えば、東京の国立国際医療研究センター病院は受け持ち患者数は150人足らず、救急患者数が二十数人。一方、仙台厚生病院や千葉県の民間総合病院などは受け持ち患者数がともに300人以上、救急患者も数倍、受け入れていた。

 できるだけ経験を積みたいと考えていた永江さんは結局、仙台の地を選んだ。「将来は消化器内科に進み、胃カメラの技術を身につけたい」と話す。

 以前は、学んだ大学の病院や系列病院での研修が一般的だったが、2004年に制度が変わり、医学生は希望する研修先を病院側とマッチングして選べるようになっている。

 アンケート結果では、研修先の病院を選ぶ基準は、「研修に力を入れている」が39%を占め、「忙しく、経験を積める」(20%)、「忙しくなく、ゆとりがある」(15%)と続いた。

 病院により専門分野や得意分野は異なる。学生間での研修先の人気は、研修医らの口コミによるところも大きかったが、「積める経験」の根拠を精査して進路を決める医学生が増えそうだ。

AERA 2016年10月3日号