皇室典範第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とあるが、皇室には秋篠宮以来、06年の悠仁親王誕生まで男子が生まれなかった。小泉内閣では「皇室典範に関する有識者会議」が置かれ、女系天皇が検討された。

 関西大学の高作正博教授(憲法学)は言う。

「先延ばしは解決につながらない。女性天皇、女系天皇、女性宮家の復活なども含めて、生前退位に関する法改正を行う機会に合わせて議論すべきだ」

 日本大学の百地章教授(憲法学)は「各問題は個別に議論すべきだ」としたうえで、至急対処が必要だと指摘する。

「将来的に皇位継承権を持つのは悠仁親王だけになる。本人と保護者の了解を得て、旧宮家の男系の未成年の男性を皇族に迎え、新しい宮家をつくってはどうか。『皇位継承者が男系男子』は憲法上の原則で、歴史的に重要。王朝は男系で見るもので、天皇が女系に変わるということは王朝の交代を意味します」(百地教授)

 一方で高作教授のように、

「男女平等を宣言する憲法14条がありながら、男性しか皇位につけないのは矛盾。現行憲法にあわせた議論をすべき」

 という考えもある。東京大学の三谷太一郎名誉教授(日本政治外交史)は言う。

「問題は大きく多岐にわたり、一度には解決が難しい。まずは生前退位に絞り、内閣と国会は必要な法改正に速やかに着手してほしい」

(アエラ編集部)

AERA 2016年9月12日号