Aさん:私も出産前に在宅勤務制度の導入を提案しました。少しでも会社にとって長期的な財産になる仕事をしたいと思ったので。でも管理職にヒアリングしていくと、本音は「面倒くさい」なんだなとあらためて分かりました。部内でたった1人のワーママの働き方を守るために、他の部員から不満が出るのが嫌なんですよね。理解を得るためにいちいち意義を説明するのも手間がかかる。でも、表向きはワーママ社員に対しても“いい人”でいたいから表面上やさしくケアして、結果的にマミートラックへ誘導してしまう。

一同:そうですよね~。

●誰もが満たされる

Aさん:ついでに言うと、そういう上司の奥さんはたいてい専業主婦。育児と仕事を掛け持ちする生活がリアルに想像できないのだと思います。でも、そんな上司に対して「在宅勤務はあなたも使える制度ですよ」と説明すると、パッと目の色が変わる。要は当事者意識があるかないか。短時間勤務や在宅勤務がワーママだけのものになっているうちは、環境は変わらないと思います。

Dさん:ダイバーシティーとか女性活躍関連の研修に女性だけ呼ばれるのもおかしいですよね。本当に実情を知ってほしいのは、ワーママの対極にいる独身の若手や年配の男性たち。

Cさん:男性が育児の当事者になっていない状況をなんとか変えたいですよね。育児している人の半数は男性のはずなのに、会社の中でまったく存在が見えてこない。育休に関しては男性の取得義務化なんて議論も出てきていますけれど、育休明け以後に続く育児への参加も大事。「週に2回は父親が保育園へ迎えに行かなければならない制度」とか。冗談みたいですけど、それくらいの強制力がないと変わらないかも。

Aさん:ワーママが楽をするのは許されないような雰囲気があるのも気になります。仕事しながら育児していると、純粋にホッとできるのって平日のランチタイムくらいじゃないですか。その貴重な時間を楽しんで、食事中の笑顔の写真をSNSにアップしたら職場の反感を買ってしまったという知人がいて。私の周りでは「ワーママのフェイスブック離れ」が加速しています。

Dさん:分かります。いろんなことを犠牲にして必死にギリギリで頑張って、ようやく許されるような感覚がありますよね。

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