●二人目は無駄なくなる

 それでも、高校生の女の子二人を持つメーカー勤務の女性(45)は、同じ保育園出身で一人っ子を育てるママ友と比較してこう話す。

「同じような価値観と収入の場合、我が家より一人っ子家庭のほうが、バイオリンや家庭教師、私費留学など、教育費がかかっている印象があります」

 この女性の高校生姉妹は、ともに公立高校。私費留学のお金はないと理解している高1の次女は、都立高から安く留学できる制度を使って長期留学しようと、猛勉強中だという。

 ということは、二人でも一人でも教育費はそう変わらない?

 ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんは、10年以上の相談業務や取材、講演などを通じて「お金に関するモヤモヤは必ず解決できる」と断言する。

「人生の三大資金は住居、教育、老後ですが、たとえば住居を中古にする、都心から少し離れる、妻の収入を増やす、老後に長く働くなどで家計のバランスを調整すれば、1千万円以上がすぐに変わります。お金が理由で子どもを諦めないでほしい」

 また二人目の子育て費用については、こう説明する。

「取捨選別できず膨らんだ一人目の子育て費用の7割くらいが、二人目にかかると思っていいのでは。無駄がそぎ落とされ、質が上がることでフォローできる印象です」

●晩婚化と高齢出産

 実際に一人娘の母親で、周囲から「教育にいい」と聞いたもの全てを与えているケースもあったという。二人以上いると聞き流せる過剰な情報も、一人っ子ならなんとかお金をつぎ込めてしまうからだ。「一人っ子のほうがお金がかかる」説の真相は、こうした底なしにかけたくなる費用が原因かもしれない。ならば二人目は、無駄な出費のストッパーになる可能性もある。

「昔の成功セオリーになぞってお金をかけたところで無駄かもしれません。これからはお金よりも、広い視野で多様な教育を考える時代です」(氏家さん)

 ただし夫婦で協力して二人目問題に向き合っても、立ちはだかる問題もある。晩婚化と高齢出産に伴い、二人目を考えるときは40代前後という夫婦も少なくない。加齢との闘いだ。

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