一人目の子育てに追われて「二人目はそのうち……」と思っていると、あっという間に時間がたってしまったというケースは多い(撮影/大嶋千尋)
一人目の子育てに追われて「二人目はそのうち……」と思っていると、あっという間に時間がたってしまったというケースは多い(撮影/大嶋千尋)

 一人は産めたが二人目となると無理、という声がよく聞かれる。夫は家事育児丸投げで、膨大な教育費も頭が痛い。そして加齢との闘いも……。

 二人目を望む夫婦は、どうしたら希望を実現できるのか?

 一人娘が4歳になり、ようやく夜の会食に参加できるようになった頃だった。今から2年ほど前、都内の出版社で働く女性(39)は飲み会で男性と子育て話になり、軽いノリで「三人目は?」と尋ねて、こう返された。

「うちはもう二人いるから、義務は果たした。男女で産み分けもできたしね」

 国民の、いや家庭の義務? 一瞬、戸惑ったが妙に納得したと、この女性は言う。

「子どもの数にブレがない彼の姿勢が羨ましかったのかも。当時、わが家も“こんな理由で一人っ子”って断言できれば、気が楽だったろうなって」

 ようやく軌道に乗った仕事が、再びの妊娠で振り出しに戻る。そう考えるとキャリアは、二人目妊娠のブレーキになる。

「絶対に欲しかった子どもを産むか、産まないかという選択より切実じゃない分、二人目はモヤモヤしたまま。一人か二人かという人生は、子どもがいるか、いないかほどのギャップもなかった」(出版社の女性)

●マミートラックに自ら

 こうした「二人目どうするか問題」は、なんとなく考えていても決断できないテーマだ。この女性の夫婦も決められないまま、長女一人にお金も手間もかけて育てることになると思っていた。しかし昨年、第2子となる次女を思いがけず妊娠。今は6歳と0歳の母で育児休業中だ。

「実は、一人っ子なら贅沢にいこうと計画した長期旅行が妊娠のきっかけ(笑)。将来の二人分の教育費を考えるとしばらくは節約生活ですが、産んで良かった。姉妹っていいなって」

 そう話す女性だが、育休後は、出世コースからは距離を置く、いわゆるマミートラックを自ら選ぶつもりだ。

「管理職にならないって言い切るつもりもないですが、責任の重い仕事は体力的にも厳しい。頼っていた実親も、もう高齢です。時短を利用しつつ、再チャンスを待つ働き方にしたい」

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