「ドアを開けたら今日の“やることリスト”が始まっちゃうから、その前に読み終えるんです」

 母親は専業主婦で、女の子は最難関中学合格率が高い塾の上位クラスに在籍中だ。

「勉強は0時過ぎまでやっていると聞きました。うちの長女は別の塾ですが、10時には眠くなってしまい、宿題が終わりません」(Eさん)

 夏休み中は毎朝の登校がないぶん、夜更かしが続きがちだ。深夜までの勉強や、息抜きのゲームを親も黙認してしまって、子どもの健康に影響はないのだろうか。

「身体の疲れは休息で回復しますが、脳の疲れは眠ることでしか取れません。せっかくの塾や習い事も、睡眠がとれてないと集中力が下がり、もったいない」

 と話すのは、睡眠改善シニアインストラクターで、子どもの生活習慣に関する講演も多い内海裕子さん。では何時に、何時間ほど眠らせればいいのか?

「米国立睡眠財団が推奨する睡眠時間は、6~13歳なら9~11時間。もちろん個人差はありますが、ぜひ9時には就寝を。花火大会や旅行など特別な日の夜更かしはありですが、その場合も翌朝は早起きするルールにすると、夜は早く眠れて、生活のリズムを取り戻せます」

 内海さんは、学校の時間割がない夏休みだからこそ、できることもあると言う。

「多忙にせよ、のんびりにせよ、自由に親子で時間割を組むチャンス。長期休暇は、早起きや朝食などの生活習慣や時間管理能力を、親から子へ贈ることができる。新学期に向けて目指すべきは『生活習慣エリート』です」

 忙しくても、親も子どもと一緒に早寝早起き。寝る親子はよく育つ。(ライター・三宮千賀子)

AERA 2016年8月22日号