国民生活センターは、ナチュラルミネラルウォーター、緑茶、スポーツドリンクなどのペットボトル飲料を対象に、手や口腔内などからの汚染が予想される細菌を5度、20度、30度の3段階の温度で培養し、1~2日後の経過を観察した。

 すると手などから汚染する大腸菌は、水やスポーツドリンクではほとんど変化がないのに対し、緑茶では1日後に20度で881倍、30度で1千倍に急増した。緑茶は中性に近いため菌が増殖しやすいのだという。一方、口腔内の常在菌で口内炎を引き起こすカンジダアルビカンスは、温度が高いとどの飲料でも増殖した。

●サーバーの水も要注意

 食品などから汚染する黄色ブドウ球菌のように、温度が高いほど経過時間とともに減少するケースもあった。総じて言えるのは、5度で保存したときには菌数はほとんど変化しないか、減少する傾向があったことだ。

 ここから得られる教訓は「宵越しの常温は持たない」。飲み残しは冷蔵保存し、早めに飲んだほうがよいだろう。気温30度の炎天下でペットボトル飲料を持ち歩いた場合、1時間後には20度、5時間後にはほぼ30度まで温度が上昇することも覚えておきたい。

 同様に注意が必要なのが、ウォーターサーバーだ。麻布大学生命・環境科学部の古畑勝則教授が、家庭や事務所などで使用中のサーバーの水140検体を調査した結果、30%から水道水の基準を超える一般細菌が検出された。従属栄養細菌(エネルギーの供給を他者に依存する細菌)では、73%が厚生労働省が定める目標値を上回っていた。これらの細菌は健康な人には影響がないとはいえ、古畑教授はこう指摘する。

「ミネラルウォーター自体は食品衛生法の基準がありますが、サーバーを通して出てくる水には何の基準もないのです。水を冷蔵保存するタイプのサーバーからは細菌が検出されなかったので、気になる人は購入時に確認するとよいでしょう」

(編集部・竹下郁子)

AERA 2016年8月1日号