大阪環状線の新型車両323系。年内にも導入予定で、これまで同線の主力だった103系・201系から基調色のオレンジを継承している (c)朝日新聞社
大阪環状線の新型車両323系。年内にも導入予定で、これまで同線の主力だった103系・201系から基調色のオレンジを継承している (c)朝日新聞社

 何かと東京の山手線と比較される大阪環状線。大きなターミナル駅も少なく、わざわざ乗りに行く路線ではなかったが、新車両導入の発表などで話題を集めている。私鉄優位の関西の鉄道事情も変わるのか。

 近年、各地でさまざまな趣向が見られる駅の発車メロディー。そのなかにあってJR西日本の大阪環状線は全19駅で異なる発車メロディーを採用して話題を呼んでいる。大阪駅の「やっぱ好きやねん」(やしきたかじん)、桜ノ宮駅の「さくらんぼ」(大塚愛)など地元ゆかりの歌手の曲があるかと思えば、大阪城公園駅は法螺貝の音だし、新今宮駅の「交響曲第9番『新世界より』」(ドヴォルザーク作曲)のように地元の観光地にちなんだやや考えオチめいた選曲もあって楽しい。

 こうした発車メロディーの導入は、JR西日本が2013年から進める「大阪環状線改造プロジェクト」の一環だ。同プロジェクトは、重点施策として「安全快適な駅づくり」「車両新製」などを掲げ、17年度末頃までの予定で大阪環状線全体のイメージアップをめざすというもの。今年度には新型車両323系が導入される。プロジェクトの最終目標は、大阪の中心部をまわるこの路線を「行ってみたい」線区へと改造し、大阪を元気にすることにあるという。

●山手線との違い

 大都市の環状路線というと東京の山手線がやはり思い出される。しかし山手線と大阪環状線は似ているようでいて、その実態はかなり違う。

 そもそも大阪環状線の開業は1961年、環状運転の開始にいたってはその3年後と、1925年に環状運転を始めた山手線よりも40年近く後れをとった。ただし、大阪環状線の線区の大半は1890年代までに建設され、1世紀以上の歴史を持つ。環状運転は旧城東線・西成線などの既存路線を新線によってつなぎ、ほぼ全線を高架化して実現された。

 よそから来た人が大阪環状線に乗ろうとしたとき、まず戸惑うのは、すべての列車が環状運転しているわけではないということだ。山手線なら方向を間違えても、いずれ目的の駅にたどり着く。しかし大阪環状線では、阪和線や関西線など周辺のJR路線との間で列車が頻繁に乗り入れているので、乗車時には注意しなければならない。

●関西の交通の結節点

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