●120度未満で調理

 アクリルアミドはスナック菓子やパン類、コーヒー、お茶などにも含まれるが、日本人のアクリルアミド摂取の56%を占めるのは、高温調理した野菜。食品安全委の筬島一浩・リスクコミュニケーション官は言う。
「もちろん野菜は、ビタミンやミネラルが豊富でがんの予防効果もあると言われているので、アクリルアミドが出るから摂らないというのはナンセンス。私たちにできるのは、食材の準備段階と調理法の工夫で、極力アクリルアミドが生成されないようにすることです」

 アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食品を120度以上の高温で調理した際、アミノ酸の一種であるアスパラギンが、ブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してできる。ポイントとなるのは120度という温度だ。煮る、蒸す、ゆでる、といった水を使う調理法なら、食材の温度は120度を超えることはないため、アクリルアミドはできにくい。

 揚げる、炒める場合は、還元糖とアスパラギンを準備段階で減らすことが肝要だ。農林水産省がまとめたアクリルアミドの低減策のポイントが下の表だ。

 揚げ物の場合、加熱時間は短めが基本。フライドポテトは軽く色がつく程度が目安だ。天ぷらやフライの場合は「具の部分に、水分が残っている限り、アクリルアミドはほとんど生成しない」(食品安全委)ので、神経質になる必要はない。

 市販のフライドポテトなどのアクリルアミド濃度も、販売業者の企業努力で減っている。農水省の調査によれば2013年度は、06、07年度に比べて4割以上減少していた。

 カリカリに揚げたり、高温で炒めたりした野菜はおいしいが、風味を損わずにリスクを減らす方法は覚えておいたほうがいい。(編集部・石臥薫子)

AERA 2016年7月25日号