東京一極集中への警鐘を鳴らした書籍がベストセラーになった増田寛也氏(左)、自民党との対立を演出して注目を集める小池百合子氏(中)、「究極の後出しじゃんけん」と一部で批判がある鳥越俊太郎氏(右)。選挙戦では、メディアへの露出の仕方も重要になる (c)朝日新聞社
東京一極集中への警鐘を鳴らした書籍がベストセラーになった増田寛也氏(左)、自民党との対立を演出して注目を集める小池百合子氏(中)、「究極の後出しじゃんけん」と一部で批判がある鳥越俊太郎氏(右)。選挙戦では、メディアへの露出の仕方も重要になる (c)朝日新聞社

 保守が分裂した一方、野党4党は告示直前に統一候補を担いだ。有力3候補の選挙戦は、違和感と不安だらけだ。

 元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(69)の決断で、東京都知事選の構図が固まった。

「保守が分裂した今回は都政を変えるチャンス。そういう状況を生かすためには、私が出馬を取り下げることで影響を与えうるんじゃないかと考えている」

 宇都宮氏は立候補辞退の理由をこう語った。この会見が行われたのは、告示日前日の7月13日夜。都知事選はこうして、元防衛相の小池百合子衆院議員(64)、元総務相の増田寛也氏(64)の保守系2氏に、ジャーナリストで野党4党が推薦する鳥越俊太郎氏(76)を加えた3氏を中心に争われることになった。

 告示前の序盤戦で、話題をさらったのは小池氏だった。

 自民党都連は6月末、都知事が2代続けてカネをめぐって途中辞職したため、政治家でなく、実務家を候補者に選ぶ方針を固めた。小池氏は「がけから飛び降りる覚悟で挑戦したい」と立候補を表明。その会見があったのは、都連会長の石原伸晃氏が、前総務事務次官の桜井俊氏に出馬を要請した日だった。

●まるで「女小泉」

「安倍政権のもとで冷遇されていると感じていたと思う。活躍の場がほしかったんだろう」

 小池氏を知る永田町関係者は、胸の内をそう推し量る。

「冷遇」の理由の一つは、2012年の自民党総裁選にさかのぼる。小池氏は当初、安倍晋三氏を支援していたが、途中から優勢とみられた石破茂氏の支持に回った。かつては「初の女性総理」の呼び声もあったが、第2次安倍政権の発足以降、主だった役職には就いていない。

 ある政治ジャーナリストは、今回の都知事選の戦いぶりを、

「自民党を敵に見立て、そこに挑む姿を見せることで支持を得ようとしている。『自民党をぶっ壊す』と叫んだ小泉純一郎元首相と重なる。メディア戦略がうまく、まるで『女小泉』だ」

 と評する。

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