室内のどこに置いても、自然光に近い光が部屋を均一に照らす。光源寿命は最大5万時間。室内の照明としても十分な2万ルクスという明るさだ。

「昔の家や教会には照明器具がなく、美しかった。この薄さと光で、照明器具があることを感じさせないインテリアを楽しめる」と戸田さんは話す。

●求ム、無限のアイデア

 時間帯やシーンに合わせた光量の調節も可能だ。「壁にとりつけて、障子やステンドグラスのように外光をとり入れたかのような光を演出できるんです。新たな建築の文化財が生まれるんじゃないかと思っています」

 オプションとして表面に特殊立体印刷ができることも、アイデアの幅を広げている。漆喰のざらざら感や天然の白木の風合いなど、まるで本物のように再現できるのだ。絵を印刷すれば、背面から光を受け、戸田さんいわく「光のカンバス」になる。

 若冲のマス目描きの作品「鳥獣花木図屏風」を特殊印刷したスタンドは、布の織り目まで間近で見えた。所蔵先のジョー・プライス氏に見せたところ、これまで気がつかなかった細部の色や線を知ったと感動し、画像を提供してくれたという。

 東京五輪をふまえ、日本の国宝を印刷して見せてもおもしろいよね、と戸田さん。今は美術館や自動車での利用を考えているそうだ。「工業としてもデザインとしてもどう使ってもいい。これからの若いクリエイターの発想が楽しみです」

 企業や法人向けだが、最終的には身近なホームセンターで「Lightface」を買える時代が来てほしいと言う。

 リビングの照明は天井の中央にあるもの。そんな当たり前の光景が変わるかもしれない。(ライター・塩見圭)

AERA 2016年7月11日号