白熱電球の発明から約130年…照明の概念を変える板が登場!?(※イメージ)
白熱電球の発明から約130年…照明の概念を変える板が登場!?(※イメージ)

 エジソンが白熱電球を発明してから約130年。照明の概念を変えるかもしれない「一枚の板」が登場した。

 次世代LED発光パネル「Lightface」だ。

 6月15日に行われた東京・五反田での製品発表会。暗闇の中、特殊印刷された「モナリザ」や伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」が光り輝いた。和紙を貼った照明スタンドや商品の影が出ないディスプレー棚などに驚きの声が上がる。これらはすべて「Lightface」の活用例だ。

 本体は600×300ミリのアクリル板で、11ミリの薄さが特徴。電源が入ると、LEDを光源とした特殊な技術で、片面全体から優しい光がムラなく発光する。見ていると、光の向こうにすっと手が入りそうだ。照明器具というより、発光体そのもの。

●クリエイターが考えた

 考案したのはアートディレクターの戸田正寿さん。かつて本誌の表紙のアートディレクションを手掛けた方でもある。「プラスチック光ファイバー」の権威で慶應義塾大学教授の小池康博さんが考えた「光散乱理論」と、新開発のLEDを応用し、実現した。大日本印刷と日東光学、ライトダ、ジェイ・キャストの4社が5月に共同発表し、「次世代の照明」として商品化、1枚10万円で販売する。

 きっかけは、戸田さんが8年前に渋谷の高級ブランド店で見た壁の演出だった。厚さ150ミリほどの淡く光る壁に感銘を受け、もっと薄い「光る板」を作りたいと考えた。印刷会社や半導体の会社に頼んだが思うようにいかない。ようやく出合った光学機器メーカー、日東光学の技術で具現化した。

「一番の魅力はシンプルであること」と戸田さん。「薄さと軽さ」「ムラのない美しい光」「フレームレス構造」といった、これまでのLED照明にはない特徴に最後までこだわった。日東光学LED製造部の担当者は言う。「LEDの誕生以降、省エネや地球環境問題には影響を与えましたが、形状は従来の照明とほぼ変わらなかった。これは、クリエイター主導じゃなければ生まれなかった製品だと思います」

次のページ