米国内には、16年2月現在で1500教室。全教科の学習者総数は約27万6千人。念願のマンハッタン進出は家賃の高さなどで遅れたが、いまでは9教室を数える。

 そしてマンハッタンに教室を持ったことで、KUMONのブランド力と認知度は大幅にアップしたという。人気俳優のヒュー・ジャックマンが子どものものと思われるKUMONのバッグを持つ写真が話題になったこともある。

●「正しく書く」を徹底

 バッテリーパークシティー教室には進度上位者の表彰の際に与えられるカップが飾られ、壁には学習の進捗状況を示すチャート。タン先生は常に生徒たちを励ますことを心がけ、「ずいぶん速く仕上げましたね」「数字がきれいに書けていますよ」などと声をかける。教室には保護者から、「自分から勉強するようになった」「忍耐強くなった」「生活全般に意欲的になった」などの声が届いている。

 11歳の長男と5歳の双子の3人の子どもを通わせる女性は、ママ友から評判を聞いてすぐにグーグルでKUMONをチェックした。

「学校のカリキュラムは、政府の方針などの影響でよく変化します。KUMONはその点、軸がブレないので信頼感が持てますね。指導者の先生にはまるで家族のように気軽に相談できるのも心強いです」

 鉛筆の持ち方、文字や数字を正しく書くことを徹底させる点が特に気に入っている。3人はそれぞれ歩みが異なるが、その子のペースで進む個人別学習だからこそ、と納得している。日本発の学習方法であることにもこだわりはない。子どもに合うならそれがベスト。5歳の長女は「やる気が出るから好き」と話す。女性は、

「Kumon works.(公文は効果がある)」

 と笑顔をみせた。(フリージャーナリスト・多賀幹子)

AERA  2016年7月11日号

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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