英国のEU離脱が確実になった6月24日の東京市場はパニック状態に。日経平均の1日の下げ幅としてはリーマン・ショック時を上回った (c)朝日新聞社
英国のEU離脱が確実になった6月24日の東京市場はパニック状態に。日経平均の1日の下げ幅としてはリーマン・ショック時を上回った (c)朝日新聞社

「地獄絵図来たぁぁぁwww」

「朝一残留って言ったやつ誰だよ グーで殴ってやるよ」

 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票で、離脱派の優勢を伝えるニュースが目立ち始めた6月24日午前11時すぎ。日経平均株価はつるべ落としの様相となり、個人投資家が集まるネット掲示板はあっという間に、悲鳴のような書き込みで埋め尽くされていった。

●朝の楽観ムード一変

 この日の終値は1万4952円。前日を1286円も下回り、下げ幅は16年2カ月ぶりの大きさだった。円相場も一時、2013年11月以来となる1ドル=99円台をつけ、長期金利の指標となる満期10年の新発国債の利回りも過去最低を更新。投資家が、英国のEU離脱に伴って世界経済の先行きのリスクが高まると判断し、比較的安全とされる日本円や日本国債へ一斉に資金を移したのだ。円高は、海外で稼ぐ企業の利益の円換算額を目減りさせ、大企業で構成される日経平均にはマイナス要因になる。

 東京市場では開票直前、楽観ムードも漂っていた。英国の複数の調査会社が前日に公表した世論調査の結果はいずれも「離脱」「残留」への支持が拮抗していたが、全体的にみれば残留派の比率が直前より上昇。市場関係者の間では「残留派が優勢」という見方が強まり、6月24日早朝に為替相場は1ドル=106円台。日経平均も午前9時の取引開始直後には前日終値を150円上回る1万6389円の高値を付けた。

 それだけに「離脱」に虚を突かれた東京市場はまさにパニックの様相だった。

 この先はどうなるのか。

「最も警戒が必要なのは、英国の金融機関に対して米ドルなど外貨の供給を渋る動きが広がって信用不安が生じ、国際的な金融システムが揺らぐことです」

 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストはこう警告する。08年のリーマン・ショック後には、米欧日の中央銀行が協調して各国市場でドルを供給し、急場をしのいだ実績がある。今回も万一の場合には同じような対応が期待され、スムーズに実現すれば大きな混乱は起きないという見方が一般的だ。ただ、何らかの理由で「政策の失敗」が生じれば、日本の金融市場も深刻な状況に陥りかねない。

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