「診察室に入ってくる時の様子や、貧乏揺すりなどをしていないかといった身体評価、血液検査などは、やはり直接会う必要があります。初診は必ず対面。症状が安定しており、悪化した時などにちゃんと話してくれる患者さんだけ遠隔診療の対象にしています」

 これまで遠隔診療に移行した患者は約半数。ただ、2回、3回と対面診療を受ける人もおり、遠隔診療ありきではない。

 目下の課題は、国が定めた診療報酬だ。遠隔診療は対面診療より医療機関の収入が少ない仕組みになっている。そのため同クリニックでは、独自に設けた予約料や薬の送料を含めて受診料を3600円+薬代と設定している。対面で再診した場合の約2.5倍だ。来田医師は状況の改善を期待する。

「遠隔診療が普及すれば、本当に対面診療が必要な人に医師の時間を割けるようになります。そのために、遠隔診療が医療の質を損なわないことを示す研究をしたいと考えています」

(ライター・越膳綾子)

AERA 2016年6月20日号