池上彰と佐藤優が資本主義の本質を徹底討論 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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池上彰と佐藤優が資本主義の本質を徹底討論

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激論を交わした池上彰氏(右)と佐藤優氏池上彰(いけがみ・あきら)1950年長野県生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授。著書に『高校生からわかる「資本論」』ほか。佐藤優氏との共著に『新・戦争論』『大世界史』佐藤優(さとう・まさる)1960年東京都生まれ。作家・元外務省主任分析官。著書に『いま生きる「資本論」』『いま生きる階級論』ほか。池上彰氏との共著に『新・戦争論』『大世界史』(撮影/写真部・岸本絢)

激論を交わした池上彰氏(右)と佐藤優氏
池上彰(いけがみ・あきら)
1950年長野県生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授。著書に『高校生からわかる「資本論」』ほか。佐藤優氏との共著に『新・戦争論』『大世界史』
佐藤優(さとう・まさる)
1960年東京都生まれ。作家・元外務省主任分析官。著書に『いま生きる「資本論」』『いま生きる階級論』ほか。池上彰氏との共著に『新・戦争論』『大世界史』(撮影/写真部・岸本絢)

 パナマ文書は、資本の運動の前では国家が無力であることを暴き出した。富の再分配は、不可能なのか。今こそもう一度資本主義の本質について考えたい。対談本『希望の資本論』文庫化を機に、知の最強タッグが語った。

*  *  *
池上彰(以下、池上):『21世紀の資本』のトマ・ピケティですが、ブームはあっという間に終わってしまったような感があります。

佐藤優(以下、佐藤):思ったよりも短かったですね。その理由ですが、ピケティは「貨幣とは何か」「資本とは何か」ということについて、突きつめて考えていないからだと思います。ピケティは「資本」や「貨幣」がどうして発生するか、よくわかっていないのです。

●ピケティの終焉 パナマ文書激震

佐藤:私が「AERA」で行ったピケティとの対談(『希望の資本論』に収録)で印象に残っているのは、彼には「労働力の商品化」に関する問題意識がなかったことです。それではマルクス経済学の「搾取」という概念がわかりません。

 ピケティは国家によって再分配をすればいいと言いますが、それではその実効性が担保できません。

池上:ピケティは、資本主義は格差をどんどん生み出していく、だから何らかの形で国家が再分配をしなければいけないと言いました。しかし、今回のパナマ文書の問題を見れば一目瞭然ですが、まさにそれができないという状況であるわけです。いかに富が偏在し逃げていくのかということが、今回の問題で赤裸々になったわけです。

佐藤:なぜこういうことが起こるのか。ピケティが言っているような「世界の徴税警察」といった発想は、今となってはもう不可能だということです。となると、もう一度「資本主義とは何なのか」を考えてみる、ということになりますね。『希望の資本論』の中でも話しましたが、マルクスが言っていたことが今回のパナマ文書の問題で、また重要になってきたと思うんです。

池上:パナマ文書は本当にごく一部、ある種の非常に偏りのあるデータしか出ていない。アメリカはあまり出ていません。それはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」(MF社)のデータの中から選択的に暴露しているのではなく、この会社はそういう国を顧客にしている会社だということであって、このリストに載っていない国をお得意様にしている会社が他に必ずあるはずなのです。そこの文書は、まだ出ていないということです。

●情報源の秘匿と言論の自由

池上:国際調査報道ジャーナリスト連合はそれぞれデータを持っているわけですが、「情報源の秘匿」の原則で、当然情報源は一切見せません。5月にある程度出ましたが、テロ資金や大がかりな脱税の証拠が出てきたら、言論の自由、表現の自由はおかまいなしに、それぞれの国が強制捜査をやるでしょう。


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